年表
1970年(昭和45年)
水産庁が「有用魚類大規模養殖実験事業」を開始
水産庁が、サケ・タラバガニ・マグロの養殖実験を推進。
マグロに関しては、静岡・三重・長崎の水産試験場、東海大学、近畿大学が委託される。
近畿大学は、和歌山県串本町大島に実験基地を開設し、養殖実験を始める
流れとしては、天然マグロの幼魚(ヨコワ)を捕獲し、飼育・育成し、産卵させ、人工孵化を進めるという手順を検討。
1972年(昭和47年)
水産庁の「有用魚類大規模養殖実験事業」終了
静岡・三重・長崎の水産試験場、東海大学は、養殖実験から撤退。
近畿大学では、台風によるヨコワの捕獲に失敗、捕獲したヨコワもすぐに全滅するなど、ほとんど成果はなかったが、自費で研究継続を決定。
1974年(昭和49年)
ヨコワの生存に成功
ヨコワが捕獲できるのは、7~9月初めのみで、そこで失敗すれば、次の捕獲を来年まで、待たなければならない状況の中、ヨコワは皮膚が弱くすぐに死んでしまい、実験は遅々として進まなかった。
しかし、4年の年月はかかったが、これまでのノウハウの蓄積から漁法・扱い方等を工夫することで、ヨコワを生存させることに成功。
1979年(昭和54年)
6月20日 世界で初めて、養殖マグロの自然産卵に成功
多くのメディアなどにも取り上げられる。
ただ、孵化仔魚が数十日後には、全滅してしまうという問題が発生
1980年(昭和55年)、1982年(昭和57年)も同様の結果(1981年(昭和56年)は産卵なし)
1980年(昭和55年)
水産庁が近大水研をクロマグロの担当研究機関に指名
水産庁のマリーンランチング計画「近海漁業資源の家漁化システムの開発に関する総合研究」で担当研究機関に指名される
1983年(昭和58年)
皇太子殿下・妃殿下が水産研究所を視察
「第3回全国豊かな海づくり大会」で串本に皇太子殿下・妃殿下に来臨され、前日、水産研究所を視察
1983年(昭和58年)
この年から、マグロが産卵しなくなる
11年間、産卵なし
1994年(平成6年)
7月2日 12年ぶりに産卵
かつては孵化仔魚が数十日後には、全滅していたが、他の魚で培った技術などで、全滅を免れる。
ただ、稚魚同士の共食いなど問題、急激な光による壁への激突死などがあり、孵化後247日目に全滅。
1995年(平成7年)
初めて、「沖出し」に成功
この年も、ヨコワが産卵し、生育させた稚魚を陸上水槽から海上の生簀へ放養
2001年(平成13年)
8月 台風11号が和歌山県を直撃し、養殖中のマグロに被害
95年級は17尾、96年級は35尾、元気に生育していたが、台風で被害。
全滅は免れ、95年級は6尾、96年級は14尾、生き残る。
2002年(平成14年)
6月23日 養殖していたマグロが産卵(完全養殖に成功)
2003年(平成15年)
「株式会社アーマリン近大」設立
文部科学省の21世紀COEプログラムに、近畿大学が「クロマグロ等の魚類養殖産業支援型研究拠点」として採択
2004年(平成16年)
9月3日 3尾が初出荷
2002年級の3尾について、2尾は大阪の阪急百貨店、1尾は奈良の近鉄百貨店へ出荷
市場や量販店などの漁業関係者を招き、試食パーティーも開催され、大好評
2008年(平成20年)
クロマグロ用の配合飼料開発
文部科学省のグローバルCOEプログラムに、近畿大学が「クロマグロ等の養殖科学の国際教育研究拠点」として採択
2009年(平成21年)
過去最高の生存率20%を達成
沖出しした稚魚約19万尾のうち、約4万尾がヨコワとなり、生存率20%を達成。
卵からの生存率も、0.07%から0.5%に上昇。
2013年(平成25年)
4月 梅田に「近大卒の魚と紀州の恵み」(大阪店)が開店
近大マグロが味わえる店として、「近大卒の魚と紀州の恵み」1号店が開店
12月 銀座に「近大卒の魚と紀州の恵み」(銀座店)が開店
2号店として、銀座にも開店
参考
熊井英水『究極のクロマグロ完全養殖物語』
The KINDAI News vol.7「完全養殖「近大マグロ」 “産業化”への挑戦」
2013年10月29日 産経新聞「大阪で話題の「近大マグロ」が銀座進出 12月に専門料理店開店」
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