藩邸

概要

 藩邸とは、諸大名が江戸に置いた出先機関である。
 幕府より土地が与えられ、大名がその地に建物を建てた(「拝領屋敷」)。
 拝領屋敷の売買は禁止されていたが、交換は許されていた。ただ、内々に代価を支払って交換を行い、実質的に売買と類されるようなおとも行われていた(「切坪相対替(きりつぼあいたいがえ)」)。


屋敷について

屋敷の種類

 拝領屋敷は、通常、次の三か所を拝領した。
 通常は下記のような機能を有するが、上屋敷が手狭なので、幕府に届け出て「居屋敷(いやしき)」として、中屋敷や下屋敷を判定とすることもあった。

上屋敷(かみやしき)藩主の本邸
中屋敷(なかやしき)隠居した藩主の邸宅
下屋敷(しもやしき)広大な庭園を有し、多くは江戸城から離れた郊外にあった別荘


屋敷内

 屋敷内は、通常、御殿と長屋に分かれていた。

御殿広間や書院など儀式を行う部屋、藩主の居室、正室や女中のいる奥など
長屋江戸詰藩士の居所


その他の屋敷

 この他に大名は、用心屋敷(ようじんやしき、火事などの際の避難所)や蔵屋敷(物資の保管所)などを有した。これらは、 大名が自ら民間の土地を出入りの町人名義で購入し、屋敷を建てたもので、「抱屋敷(かかえやしき)」と呼ばれている。

 また、江戸の藩邸だけでなく、朝廷・商業の中心地であった大坂や京都にも藩邸が置かれていることもあり、大坂屋敷や京屋敷と呼ばれている。


(参考)山本博文「なるほど! 大江戸事典」、綜合社、2010年

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