概要
江戸時代の職制としては、将軍を頂点として、次のようなものがある。
江戸幕府の職制
(参考)児玉幸多編「日本史年表・地図」、吉川弘文館、2008年
職名 | 読み方 | 概要 |
---|---|---|
大老 | たいろう |
江戸幕府の政務を統括する最高責任者。 ただし、常に設置はされておらず、設置された場合も1名のみがこの役職に就いた。 |
老中 | ろうじゅう |
通常、江戸幕府の政務を統括する役職である。3~5人任じられ、若年寄の補佐を受け、日常の政務を執行する。 月番制が採られているが、何かを決定するときには合議で行われる。 |
側用人 | そばようにん | 将軍側近の最高職である。将軍を補佐し、将軍と老中の取り次ぎを行った。 |
若年寄 | わかどしより | 将軍家の家政を担当する役職である。 |
寺社奉行 | じしゃぶぎょう | 全国の宗教統制や寺社領の管理などを行う役職である。 |
奏者番 | そうしゃばん | 城中において、武家に関する儀式や典礼を行う役職である。 |
京都所司代 | きょうとしょしだい |
幕府の京都における出先機関の長官である。 朝廷を監視する共に、京都の民政・司法を担当した。 |
大坂城代 | おおさかじょうだい | 大坂城を預かり、西国大名の監視や城の警護などを行う役職である。 |
大坂定番 | おおさかじょうばん | 大坂城番とも書かれ、大坂城代を補佐して、大坂城の警備を行った。 |
側衆 | そばしゅう | 将軍の側近であり、将軍の警護や老中との取り次ぎを行った。 |
高家 | こうけ | 幕府において儀式や典礼を司る役職である。 |
留守居 | るすい | 大奥の取り締まり、関所女手形の発行、江戸城諸門の通行証の発行を管轄する役職である。 |
大目付 | おおめつけ | 諸大名の監察を行う役職である。 |
大番頭 | おおばんがしら | 江戸城の警備にあたる役職である。 |
町奉行 | まちぶぎょう |
町奉行所の長官で、寺社地・武家地を除いた江戸の行政を担当した役職である。 町触(まちぶれ)と呼ばれる法令を出して、警察・司法業務を行った。 |
勘定奉行 | かんじょうぶぎょう | 勘定所の長官で、幕府の財政を担当すると共に、天領の民政・徴税・司法などにもあたった。 |
普請奉行 | ふしんぶぎょう | 城の石垣普請や縄張りを司る役職である。 |
作事奉行 | さくじぶぎょう | 幕府において、造営修繕の管理を掌った役職である。 |
小普請奉行 | こぶしんぶぎょう | 江戸城、寛永寺、増上寺などの建築・修繕などを行った役職である。 |
遠国奉行 | おんごくぶぎょう | 幕府の直轄都市の行政と司法を担当した役職である。 ただ、遠国奉行という役職があるわけではなく、三奉行・下三奉行と区別するために呼ばれたものである。 |
三奉行
概要
三奉行(さんぶぎょう)とは、寺社奉行、町奉行、勘定奉行の総称である。
下三奉行
概要
下三奉行(しもさんぶぎょう)とは普請奉行、作事奉行、小普請奉行の総称である。
その他
遠国奉行
遠国奉行とは、幕府の直轄都市の行政・司法の責任者である。
遠国奉行を席次順に並べると次のようになる。
奉行名 | 役料・役高 | 官位 |
---|---|---|
長崎奉行 | 4402俵1斗 | 諸大夫役 |
京都町奉行 | 1500石高 | 諸大夫役 |
大坂町奉行 | 1500石高 | 諸大夫役 |
山田奉行 | 1000石高 | 諸大夫役 |
日光奉行 | 2000石高 | 諸大夫役 |
奈良奉行 | 1000石高 | 諸大夫役 |
駿府町奉行 | 1000石高 | 布衣役 |
浦賀奉行 | 1000石高 | 布衣役 |
佐渡奉行 | 1000石高 | 布衣役 |
(※)この他、幕末には新潟奉行・箱館奉行も置かれた。
(参考)山本博文「なるほど! 大江戸事典」、綜合社、2010年
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